故・篠原洋平さんの悔しさ、無念の思いを代弁し続けます

週間実話

タイ・マカオ

週間実話(2006年タイ事件)

ジャーナリスト多田文明氏のタイ事件当時の寄稿。記事の内容から、2006年のタイ事件の2年前には、伊藤誠による海外でのクレジットカードを使った買い付け詐欺が行われていたことがわかる。

★AIによる音声読み上げ版(7分34秒)

スクープ!  
買い物するだけで儲かります
新種の詐欺事件
勃発!
「仕入れアシスタント募集!」という『折込の求人広告』に気を付けろ!
求人を装ったこの種の折込広告には、語学力や商品知識はなくとも、楽に儲けることができると書かれ、下段には事業者名とその住所、電話番号が記されている。
昨年8月頃、この仕事に応募したのが、千葉県在住の田代勇作さん(62、仮名)の次女・A子さん(26)だ。
彼女の”仕入れ”に、スタッフと称して同行した男を仮にXとしよう。Xの年齢は48歳。田代さんは娘のA子さんとともに、バンコクに11月まで”仕入れ”に出掛け、Xと会っている。
田代さんが苦渋に満ちた表情で言う。
「この仕事は、クレジットカードのショッピング枠を使い、バンコクや香港で『買い物』をすることでした。帰国後、買い物の際に切られた請求書を、Xの社にファックスすると、後日、手数料3%プラスされた金額が振り込まれる。買い物は、現地通貨のバーツですが、カード会社の請求は円で出てくる。為替レート問題を説明してくれ、損が出ないように、カード会社の請求書をもとに支払います。商品は、現地でサインするだけで手元には残りません。」
田代さんは、妻、長女などと総勢7人で、3%の手数料を稼ぐビジネスに乗ってしまった。
しかも、間の悪いことに、手広く事業を行っていた田代さんは、何枚ものクレジットカードを持ち、ショッピング枠も400万円から600万円と高額だった。その上、約束のおカネは、昨年11月、今年1月、2月と3か月分は振り込まれたことから、決済を滞りなく行うことで、良客としてショッピング枠の上限も上がった。
「でも、おかしな買い物でした。Xと店員が現地語で会話し、店員が私らのカードを別室に持っていき、店員がタイ語と身振りでサインを求め、それが終わるとカードを返してくれる。
7人で購入させられた金塊は合計8キロありますが、品物は確認してはいません」(田代さん)
4月、振り込まれるはずの決済用資金と手数料は支払われなかった。Xにも連絡はつかなくなった。
田代さんらは詐欺だと気がついたが、すべては後の祭りだった。家族らはパニックに陥った。それもそのはず、7人を合わせたショッピング総額は約6,000万円に達していたからだ。
「海外での買い物、これがワナなのです。海外で買い物をすると料金の請求書は、早い社で1か月後、今回請求のあった中で、遅い社だと3か月後です。
バンコクではこうした詐欺の時効は3か月、つまり、詐欺だと気づいたときには、時効になっているという仕掛けです」(田代さん)
千葉県内の地元の警察署に詐欺に遭ったという被害届を出すと、「詐欺だと立証されたわけではないので、相談を受けたことにしておきます」といかにも不熱心。むしろタイツーリストポリスのアドバイスの方が丁寧で、「信販会社などに支払ってしまうと事件じゃなくなりますから、お金は取り戻せない」とアドバイスされた。このアドバイスを受け、田代さんらは決済をしなかった。
当然のことながら、信用情報機関のブラックリストに田代さんらは載り、夜の8時頃になると、ドンドンと玄関を叩く催促に怯えるようになった。
実は、この詐欺の手口は古く、「海外に行き、買い付けをする仕事には注意を払うように」という警告が、消費者保護団体などから7年前に出されている。
「この手の詐欺は、X氏から商品代金が支払われてなくても、クレジット会社などに対して支払いを停止することは認められません。警察に被害届を出すことが、一番よい方法です」(こうした商法に詳しい法曹関係者)
だが、タイ警察は田代さんに、こういうアドバイスをしたという。
「日本の警察は海外でのカード詐欺、買い物詐欺の実態については把握していない」と。
つまり、最良の方法は、現地の警察に逮捕してもらうことなのだ。田代さんらの場合は、明らかにカード詐欺という事例がある。
「ある鉄道会社系カードからの請求の場合、妻は今年4月2日に帰国しているのに、4月7日に、約60万円のエアチケットをバンコクで購入したことになっている。トラベル会社に問い合わせると『田代さんの妻(本名)と名乗る者から申し込みがあった』と説明したのです。
本人確認をせずにエアチケットを売ったこのトラベル会社は明らかに責任があり、だからこのカード会社からの請求は無効のはず。
しかも、この会社は、自社で妻のサインをしたうえで、このトラベル会社に返送している」(田代さん)
高級カードで知られるDカードの対応にも、田代さんはクビを傾げる。
「担当者は、このように言うのです。『Xは2年前もXと名乗り、同じ手口を使っている。捕まらない自信があるのでしょう。だから、お金は戻りませんから、少しでも入金して下さい。悪いようにはしませんから。』言われるがまま、ブラックリストに載せられない一心で計数万円を入金したのです。だが、リストには載った。」
こうしたケースをどうするか、カード会社に聞いてみると、いずれも「個別の案件には答えられない」という返答だった。
カード会社などを管轄する経産省・取引信用課は、「1995年の通達では、こうした事案では、信販会社に正当性がある」というスタンスだ。
タイ領事館などは手回しよく、自己破産を勧めたという。
「これでは、詐欺グループを野放しにするだけです」(田代さん)
田代さんの執念の追跡から、今年10月12日、Xは詐欺容疑で、タイ国の首都警察から指名手配された。
「海外では、カードを持っていなくてもカード番号だけを記載すれば使えるんです。これでは本人でなくても使えることになります。
また、そのことを知らないカード会社社員がいかに多いかを、今回の件をきっかけに知りました。
国は消費者保護などというが、カード会社を保護しているにすぎません。」(田代さん)
実際、被害者の中には裁判を避け、弁護士を通じて和解し、分割払いをしているケースが多い。
警告から7年たっても、国とカード会社の無策により被害はまだ続いている。詐欺集団の高笑いが聞こえてくるようだ。

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